骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の検査・治療について

骨粗鬆症とは

体の中では絶えず古い骨は壊され新しい骨が作られています。骨粗鬆症とは、このバランスが崩れ骨の中がスカスカの状態になり、骨折しやすくなる病気です。骨粗鬆症は、がんや心筋梗塞のように命が脅かされる病気ではありませんが、高齢者の場合、転倒などで背骨が圧迫骨折を起こし、それが原因で寝たきりになってしまうケースも珍しくありません。また一度骨折を起こすと、他の部位でも骨折を起こす危険が高くなります。

骨量(骨密度)は50歳頃から急激に減少し、60歳代では2人に1人、70歳を超えると10人に7人が骨粗鬆症と言われています。元気で充実した日常生活を送るためにも、早期の検査をお勧め致します。

●女性に特に多い骨粗鬆症

女性の場合、更年期になり閉経を迎えると、卵巣の機能が低下し女性ホルモンの一つである「エストロゲン」が減少します。このエストロゲンが減少すると、古い骨細胞を破壊する骨吸収のスピードが増し、新しい骨細胞を形成する骨形成のスピードが追いつかなくなり、その結果、骨粗鬆症となってしまいます。また閉経後の女性だけでなく、月経不順や月経が訪れない無月経の若年女性も女性ホルモンの産生が少なくなり骨粗鬆症を発症することがあります。こうした骨粗鬆症は卵巣機能が低下し、正常な働きができないためで、ストレスやダイエットなども原因の一つと言われています。

骨粗鬆症の検査(骨密度測定・血液検査)

骨密度測定

骨粗鬆症の検査として、骨密度を測定する検査があります。骨密度とは、「骨の強さ」を判定するための検査です。骨密度の測定方法には、以下の通り様々な方法があります。

MD法

手のX線写真をアルミニウムの基準物質と一緒に撮影し、骨と基準物質の濃淡によって骨量を割り出します。手の骨量から脊椎等の骨量をある程度推測できますが、微妙な骨量の増減を正確に測定することはできません。

超音波法(QUS法)

足のかかとに超音波をあて、超音波が骨の中を通過する際の速度を測定し、骨密度を測定します。X線被爆の問題がない等のメリットはありますが、MD法同様、正確な骨量を測定することはできません。

DXA法(デキサ法)

当院の骨密度測定装置

2種類のエネルギーレベルのX線の透過率の差を利用して骨量を測定する方法で、測定対象骨は、腰椎、大腿骨頸部(腰椎・大腿骨が測定できない場合は、前腕骨で測定)です。測定の際は、脂肪などの軟部組織の影響を除外でき、骨量の増減を正確に測定することが出来ます。測定時間は5分程度で、痛みもなく、放射線の被爆量もわずかです。

当院では最新式のDXA法の骨密度測定装置を
完備しております。

血液検査(骨吸収マーカー・骨形成マーカー)

血液検査(骨吸収マーカー・骨形成マーカー)

骨は、一度作られたらずっと同じ骨成分ということはありません。「骨吸収」と「骨形成」を繰り返し作られています。当院では骨密度測定の他、2種類の骨代謝マーカー(骨吸収マーカー・骨形成マーカー)という検査により、骨の新陳代謝の速度を測定し、骨粗鬆症の継続治療及び診断に用いております。

骨吸収を示す骨代謝マーカーの高い人は骨密度の低下速度が速く、骨密度の値にかかわらず、骨がもろくなりやすく骨折の危険性が高くなります。また、この検査は骨粗鬆症を他の病気と区別するためにも行われます。

骨粗鬆症の診断基準

骨粗鬆症の診断には、骨密度、骨のもろさ、骨折(脆弱性骨折)の有無で大きく判断します。判断方法として、上記でご説明した「骨密度測定」や「血液検査」、「レントゲン撮影」等の検査を行い診断します。

骨密度測定装置による診断 ※脆弱性骨折なし

骨粗鬆症の診断基準

正常な場合 80%以上
骨量減少(要注意) 70%~80%
骨粗鬆症 70%未満
レントゲン撮影による診断(背骨撮影)

骨密度が高い場合にはレントゲン写真で骨が白く写ります。骨粗鬆症の場合や骨量が減少している場合は骨密度が低いため、骨が薄く黒っぽく写ります。圧迫骨折がないかどうかも診断します。

血液検査による診断

一般の血液検査や骨代謝マーカー(骨吸収・骨形成)等により判断します。また、この検査は骨粗鬆症を他の病気と鑑別するためにも行われます。

骨粗鬆症の治療法

骨粗鬆症の治療は、食事療法、運動療法、薬物療法(服薬・注射・点滴等)にて治療を行います。日常生活からの予防も欠かすことはできませんが、服薬や注射(点滴)等の薬での治療が中心となります。

食事療法

高齢者の方や更年期を迎える女性のカルシウム必要最低摂取量は、1日800mgと言われています。800mgの摂取で±0となるため、日頃から乳製品や小魚等のカルシウムを多く含む食材を摂取する必要があります。カルシウムだけを摂取しても体内には吸収されないため、カルシウムの吸収を高めるビタミンDを含む食材の摂取も重要です。また、吸収したカルシウムがきちんと骨として沈着するためには、ビタミンK2を多く含む食材の摂取も必要です。カルシウム、ビタミンD、ビタミンK等バランスよく摂取しすることが重要です。

カルシウムを多く含む食材 牛乳、乳製品、小魚、干しエビ、小松菜、チンゲン菜、豆腐等の大豆食品 等
ビタミンDを多く含む食材 さけ、うなぎ、さんま、めかじき、いさき、かれい等の魚類、椎茸、きくらげ 等
ビタミンK2を多く含む食材 納豆、ボウレン草、ブロッコリー、小松菜、ニラ、キャベツ、サニーレタス 等
運動療法

運動不足は骨量を減少させ、骨粗鬆症になる要因となります。骨の強化を図るには適度な運動が大切です。運動する際に、骨に「体重をかける、圧力をかける」ことが重要で、圧を加えることによって骨が丈夫になります。また運動した時間や圧力をかける割合が多いほど骨に現れる効果は大きいと言われています。無理な激しい運動をする必要はありません。

●日光浴の効果

日光浴には、カルシウムの吸収を高めるビタミンDを産生する働きがあります。ビタミンD欠乏予防のためにも、1日1回外に出て日光を浴びましょう。

薬物療法

骨粗鬆症の薬物療法(服薬、注射・点滴等)は、食事療法、運動療法の上に成り立っています。カルシウム、ビタミンD等をしっかり食事摂取し、適度な運動をすることを心がけましょう。

治療薬 効果
カルシウム製剤 骨密度の減少を抑えます。腰痛の痛みにも効果があります。
エストロゲン製剤 閉経期の女性が対象となります。閉経後に低下した女性ホルモンを補充し、骨密度を増加させます。更年期症状のほてり感などにも効果があります。
イソフラボン製剤 骨密度の減少を抑え、新しい骨を作るのを助けます。
カルシトニン製剤 骨密度の減少を抑えます。腰痛の痛みにも効果があります。注射薬のため、週1回程度の通院が必要です。
ビスフォスフォネート製剤 骨密度を増加させ、骨の変形を起こしにくくします。
活性型ビタミンD3製剤 カルシウムの吸収を増加させ、新しい骨を作るのを助けます。骨吸収と骨形成の均衡を整える効果があります。
ビタミンK2製剤 骨密度の減少を抑えて、新しい骨を作るのを助けます。骨代謝の機能が衰えている高齢の人への服用に適していると言われています。また、骨折予防に対しても効果が確認されています。

高齢者等の骨折の多くの原因は「骨粗鬆症」です。高齢者が骨折した場合、寝たきりになる場合もめずらしくありません。骨折のリスクを軽減するためにも、継続した治療・検査が重要です。

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