高齢者の代表的な骨折(骨折観血的整復固定術)

高齢者骨折の原因の多くは、骨粗鬆症をベースとした外傷です。骨粗鬆症とは骨がもろくなった状態のことで、高齢者は若い人に比べて骨が弱く非常に折れやすくなっています。ほんのわずかな外傷でも骨折が起こりやすく、骨折した場合それが原因で寝たきりになることもめずらしくありません。

骨折を起こす原因

骨折を起こす原因の大半は、骨粗鬆症をベースとした転倒です。室外よりも室内で起きるケースが多く、階段・敷居等の段差、浴室等のすべりやすい場所で多くみられます。冬の時期で路面が凍っている場合は、転倒リスクも非常に高いため骨折を起こすことが多い様です。

高齢者の4大骨折

高齢者骨折の中で特に多くみられるのは、手首の骨折(橈骨遠位端骨折)・肩の付け根の骨折(上腕骨頚部骨折)・背骨の骨折(脊椎圧迫骨折)・股関節(もものつけね)の骨折(大腿骨頚部骨折)で、「高齢者の4大骨折」とも呼ばれています。

この4大骨折の中で、最も重篤な骨折が「大腿骨頚部骨折」です。高齢者の場合、年齢とともに体力・筋力ともに衰え、歩行能力も低下しているため、大腿骨頚部骨折を受傷した場合、長期間のリハビリが必要となります。

治療方法・方針

部位や程度によって治療方法が異なりますが、骨折部の転位(ズレ)が大きい場合は大腿骨頭への血流が断たれ骨自体が壊死する可能性が高いため人工骨頭挿入術を行います。反対に、転位の小さい不完全骨折等の場合は、観血的骨接合術や保存療法を選択する場合もあります。当院では、患者様・患者様御家族ときちんとしたインフォームド・コンセントを実施した上で治療方針を決定します。

大腿骨頚部骨折と上腕骨頚部骨折についてご紹介します。

大腿骨頚部骨折

大腿骨とは、膝関節と股関節の間(太もも)の太い骨で、体の中では最も長い骨です。当然骨折した場合は、歩行に大きな影響を及ぼします。大腿骨頚部骨折の主な原因は、胸腰椎圧迫骨折同様、骨粗鬆症による骨量減少や転倒等の外的要因により発生します。骨粗鬆症が進行している場合、軽微な外力でも骨折が起こりやすいという特徴があります。

大腿骨頚部骨折には、大腿骨頚部内側骨折・大腿骨頚部外側骨折、その他大腿骨骨頭下骨折・大腿骨転子下骨折等、骨折の種類も様々です。また、骨折部位によって手術方法も異なります。(下記図参照)

手術翌日より足をつく事は可能となり、リハビリ訓練により独歩可能となる可能性は有りますが、骨粗鬆症等に対しては継続した治療が必要です。また、他部位に続発する骨折のリスクをいかに防ぐかも重要な課題です。

大腿骨頚部の骨折部位

大腿骨頚部の骨折部位

A:大腿骨頚部内側骨折
B:大腿骨転子部骨折

大腿骨頚部骨折に対する手術方法

大腿骨頚部内側骨折の場合

骨折の部位・程度により手術方法を選択しますが、不完全骨折・転位のない完全骨折(ズレのない骨折)等に対しては、ハンソンピン法等にて自骨を温存した手術を行います。転位の大きい骨折の場合は、大腿骨頭への血流が断たれ骨が壊死する可能性が高いため、人工骨頭置換術を選択します。

※パンソンピン法とは、中にフック・ピンを内蔵した2本のピンで固定する方法です。

手術例)大腿骨頚部内側骨折に対する人工骨頭挿入術施行

手術例)大腿骨頚部内側骨折に対する人工骨頭挿入術施行

大腿骨転子部骨折の場合

大腿骨転子部骨折の場合

骨折の程度により手術方法を選択します。

上腕骨骨頭下・頚部骨折

転倒して手を伸ばしてついたり直接肩を打ったりして発症する、いわゆる肩の骨折です。他の骨折と同様、骨粗鬆症のある人に多くみられます。転倒直後から、肩の強い痛みが出現します。肩を動かすことが出来ず、貧血になったり、肩から胸部・上腕部・前腕部に皮下出血が広がる場合があります。

骨の転位が大きい場合は手術を行います。手術翌日より関節可動域訓練を開始しますが、骨粗鬆症等の継続した治療が必要です。また、他の部位に続発する骨折のリスクをいかに防ぐかも重要な課題です。

手術例)上腕骨骨頭下骨折に対する骨折観血的整復固定術

手術例)上腕骨骨頭下骨折に対する骨折観血的手術